
東洋医学の基本は「正気」を助けること
人間はもともと、簡単に病気になることはありません。もし病気になったとしても、抵抗力や自然治癒力により、克服する力を持っています。この人間が本来持っている病気を治す力を、東洋医学では「正気」と呼びます。また正気とは逆に、病原性の細菌やウイルス、環境の変化や疲労、ストレスなど、体調を悪くするさまざまな要因を「邪気」と呼びます。つまり、病気とは正気が邪気に負けてしまった状態のこと。東洋医学の基本的な考え方は、人間が生まれながらにして持っている正気をパワーアップさせて、病気からの回復を早めることです。気・血・津液・精のバランスが正気を助ける
東洋医学では、人体は下の4つの要素から構成されているといわれています。気……臓器や組織に影響を及ぼす、生命活動のエネルギー源
血……血脈中をめぐり全身に栄養素をもたらす液体
津液…全身をすみずみまで潤す、血液以外のすべての液体
精……生命エネルギーの基本。生まれつき持つ「先天の精」と後から作られる「後天の精」があります
病気に対する抵抗力や自然治癒力を表す「生気」とは、この4つの要素が総合的に機能している状態です。気・血・津液・精が正常に機能し、それぞれがバランスを取りながら、スムーズに体内を循環していれば、生気も活性化し、邪気に打ち勝つことができるのです。
五臓六腑を結ぶ経絡の流れをスムーズに
この気・血・津液・精の4つの要素を作り出しているのが、人体の内臓器官「五臓」(心・肺・脾・肝・腎)と「六腑」(小腸・大腸・胃・胆・膀胱・三焦)。六腑から吸収した食物の栄養や、大気から取り込んだ気をもとにして、五臓が気・血・津液・精を作り、貯蔵します。そして、この五臓六腑をつなげ合うパイプ役として、気や血を循環させているのが「経絡」です。健康の維持のためには、この経路の流れをスムーズに保つことが大切。ここが詰まってしまうと、4つの要素のバランスが崩れ、五臓六腑に不調をきたしてしまいます。